ドメインのレジストラ移管は,年に1度あるかないかの作業だからこそミスりやすい.本記事では「メールが届かない事故」を防ぐ6ステップを整理する.

この記事では,個人開発者・スモールチーム・学生エンジニアの方を主な読み手として書いています.10分で読み終わって,明日から動ける具体的な行動が1つ見つかる状態を目指しています.

なぜドメイン移管で事故が起きるのか

移管作業は「レジストラを変える」だけではない.ネームサーバーが切り替わるとDNSも作り直しになるケースが多く,サブドメイン・MX・TXTを全部復元しないと事故る.

特にメール.MX が空になると送信者にもエラーが返らず消える.取引先が「メール無視された」と誤解する地獄が始まる.

ステップ1:現状のDNS・WHOIS・有効期限を全部記録する

移管前に,現レジストラからDNSレコード一覧をテキスト化.WHOIS登録者情報も全項目控える.特に有効期限.移管中に切れると面倒.

dig +noall +answer example.com ANYで取得.サブドメインは別途列挙(ANY では拾えない).SPF/DKIM/DMARCのTXTも忘れずに.

ステップ2:認証コード(AuthCode)を取得する

レジストラ移管にはAuthCode(Auth Info / EPP コード)が必須.現レジストラの管理画面から発行依頼.数分〜数時間で発行される.

このコードを新レジストラ側で入力することで移管が始まる.コードは有効期限が短い(数日〜2週間)ので発行したらすぐ移管を進める.

ステップ3:移管ロックを解除する

不正移管防止のため,多くのドメインは「Transfer Lock」が有効化されている.現レジストラの管理画面でロック解除.これを忘れると移管リクエストが弾かれる.

WHOIS Privacy(代行公開)も移管前に一時的にOFFにする必要がある場合あり.レジストラ仕様によるので事前確認.

ステップ4:新レジストラで移管申請

新レジストラの管理画面から「ドメイン移管」を選択.ドメイン名 + AuthCode を入力.通常5-7日で完了.

承認メールが現レジストラ登録のメールアドレスに届く.このメールアドレスが古いと事故る.移管前にWHOIS連絡先の最新化を必ず.

ステップ5:DNSレコードを新レジストラに復元

移管完了後,ネームサーバーも切り替わるケースが多い(新レジストラの標準DNSへ).ステップ1のバックアップを基準に,全レコードを復元

切替前のTTLを300秒に下げておくとリカバリが速い.特にMXSPF/DKIM/DMARCを最優先で復元.

ステップ6:移管後72時間の監視

移管完了から72時間は監視期間.外形監視ツールでサイト到達を確認.自分宛にテストメールを送って受信もチェック.

Search Console / アナリティクスでアクセス急減が起きていないかも確認.異変があればすぐ旧レジストラのレコードに切り戻せる状態を72時間維持する.

補論:移管は「資産整理」のチャンス

移管はDNSやメール設定を整理する絶好の機会.使っていないサブドメイン,古いSPF設定,期限切れ寸前のSSL.移管時にまとめて棚卸しすると,運用負荷が下がる.

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よくある質問

Q1:移管中にドメインが止まることはある?

原則止まらない.レジストラが変わるだけ.NS変更時に伝播待ちが発生するのみ.

Q2:有効期限はどうなる?

移管時に1年延長される(JPドメインは仕様により異なる).損はしない.

Q3:取得後60日以内は移管できない?

その通り.ICANN規定で取得・移管直後の60日は再移管不可.急ぐ場合は新規取得時にレジストラを慎重に選ぶ.

まとめ ― 移管は「準備8割」

大事なのは,「正解を完璧に押さえる」ことではなく「動き始める」ことです.今日,自分のドメインのDNSレコードをdigでテキスト化して残す.それが将来の移管事故を防ぐ.