レンタルサーバーの乗り換えは,雑にやるとサイト停止・メール不達を生む.本記事ではダウンタイムゼロの段階移行手順を整理する.
この記事では,個人開発者・WordPress運用者・スモールチームの方を主な読み手として書いています.10分で読み終わって,明日から動ける具体的な行動が1つ見つかる状態を目指しています.
なぜダウンタイムが発生するのか
素朴な移行は「旧停止→新コピー→DNS切替」.この手順だとDNS伝播時間中の数時間〜数日,どちらにアクセスが来るか分からない状態が続く.
そこで「両系並走→無風切替」に変える.新旧両方で同じデータが動いている状態を作り,DNS切替直後から事故ゼロを実現する.
ステップ1:新サーバー契約 + ドメイン暫定追加
新サーバーを契約.ドメインを「使用予定」として追加.まだDNSは切り替えない.hostsファイルやステージング用URLで新サーバーへ直接アクセスできる状態を作る.
多くのサーバーが動作確認用URL(xxx.lolipop.jp等)を発行する.これで本ドメインを切り替える前に新環境を全部テストできる.
ステップ2:データ・ファイルを新サーバーにコピー
WordPress なら(A) ファイル全部 + DB エクスポート.FTP / SCP / rsync で転送.プラグイン(All-in-One WP Migration)を使うと楽.
新環境でwp-config.phpのDB接続情報を新サーバー仕様に書き換え.サイトURLは本ドメインのまま(動作確認URLでアクセスする想定).
ステップ3:動作確認用URLで新環境を全テスト
動作確認URLで,主要ページ・問い合わせフォーム・管理画面・プラグインをすべて確認.画像が表示されるか,パーマリンクが効くか,全部チェック.
HTMLレスポンスで古いサーバーのIPを参照している記述がないか確認.「ベースURL」を相対指定にしてあれば事故が起きにくい.
ステップ4:TTL を300秒に下げる
DNS切替の3日前に,現サーバーを向いているレコードのTTLを300に下げる.切替後の伝播が早くなる.
これを怠ると,切替後に問題が起きてもキャッシュが切れるまで切り戻せない.3日前の準備で運命が変わる.
ステップ5:DNS切替 + 旧サーバーは「停止せず」維持
準備が整ったらDNSのAレコードを新サーバーのIPに変更.伝播は数分〜数時間.切替後48時間は旧サーバーも稼働状態のまま維持する.
伝播中は新旧両方にアクセスが来る.両方が同じデータを返せる状態だから事故ゼロ.これが「ダウンタイムゼロ」の正体.
ステップ6:48時間後に旧サーバー停止 + バックアップ
新サーバーへの完全切替を確認.アナリティクスでアクセスが新サーバーに来ているかを照合.問題なければ旧サーバーをバックアップ取得後に停止.
急ぐと事故るので1週間は旧サーバーのアカウントを解約しない.何かあったときの切り戻し余地として温存.
補論:「ドメイン資産」を絶対に止めない
独自ドメインで積み上げたサイトは,たった1分のダウンタイムでも信頼を毀損する.取引先からのアクセスが落ちた瞬間に見られていた可能性がある.
これからドメインを取るなら,取り扱い400種類以上のドメイン取得サービス─ムームードメイン─ ならDNS設定もコンパネからすぐ変更可.TTLの一時短縮もGUIで一発.
乗り換え先のサーバーとしてロリポップ!は,動作確認URLとステージング機能が標準でついており,本ドメイン切替前に新環境を完全検証できる.段階移行の典型構成に向く.
よくある質問
Q1:両系並走中にデータ更新があったら?
移行中は記事更新・コメント受付を一時停止.48時間の静的運用を貫く.
Q2:移行作業はどの時間帯がベスト?
アクセスが少ない火曜の早朝.週末は避ける(トラブル対応が困難).
Q3:メールも一緒に移行するときの注意は?
MX切替前後でメール不達リスクが最大.48時間は両サーバーでメール受信できる状態にする.
まとめ ― 乗り換えは「並走48時間」が鍵
大事なのは,「正解を完璧に押さえる」ことではなく「動き始める」ことです.今日,TTL を300秒に下げる検討から始めましょう.3日後に乗り換えるのなら,今日下げるべきです.